【自然再生】塩害とガチガチの粘土質に、古来の樹木を植える理由

6.6 生きもの広っぱ便り

生きもの広っぱのあまりにも劣悪な土壌環境を思い知ったのは、スダジイ、アラガシ、タブノキを植えたこの五月です。

埋め立て土砂で、土地は粘土質のがガチガチに固まり、輪をかけるように塩まじりの暴風雨に晒され、塩分は、植物が育つ限界の5倍から10倍です。それでもパイオニア植物が育つというたくましさに驚嘆します。

かつての「放っとけ、木は植えない、池に魚は入れない」は、それで「この地域の自然をよみがえさせる」とは一体何だったのかを、改めて考えさせられます。

こうした劣悪な土壌では、実際、当初は、人が手を貸さなければ、半世紀経っても、紀伊半島を取り巻く古来の樹木、鎮守の森を作っているスダジイ、アラガシ、タブノキらは決して生えくることはないでしょう。

一定、木は自生し始めると、人の手を離れて大きくなってゆきます。

りんくうタウンの歴史と環境政策の現実

埋め立て始めてから38年が経過、りんくうタウンは、関西国際空港が開港した1994年に「まちびらき」を行っています。その時から数えて既に32年になります。

その頃、僕は議員になりました。前述した1992年のリオデジャネイロの「地球サミット(国連環境開発会議:UNCED)」では、大気保全、森林減少の阻止、砂漠化への対処、生物多様性の保全、有害廃棄物の管理など、環境破壊に対する具体的な政策目標が全40章にわたって細かく規定されました。とりわけ、森林については、世界の森林(特に熱帯林)の減少・劣化を防ぐため、その保全と持続可能な経営についての世界初の国家的合意が図られました。

その後、1997年の京都議定書で具体的なことが決められました。その頃、僕は民主党衆議院選挙大阪19区の支部長として、京都議定書推進のために動きました。

皮肉なことに、この京都議定書では「過去に大量の温室効果ガスを排出してきた先進国が、まずは先陣を切って責任を負うべき」というリオの原則があり、今や最大の排出国である中国やインドなどの開発途上国には削減義務が課されませんでした。追い討ちをかけるように、トランプの手によって、米国は2度も、地球サミットを離脱しています。

目の前の現実を見極め、次の計画へ

本論に戻ります。かくなる上は、目の前の現実を見極め、そこから出発するしかありません。

次の計画は、劣悪な土壌にも生える多様な雑草からナンキンハゼ、アカメガシワ、ヤマモモ、シマトネリコ ネムノキなどのパイオニア植物の根、それを取り巻く菌根菌の協力をえて、スダジイ、アラガシらを植えてゆくことです。

エノキとタブノキは、この土壌にも強靭に根を張ってくれているので、その必要はありません。

来年の2月の府からの苗木については、焼却施設側の土手に植え、鎮守の森の構成要素であるシャリンバイなどの塩害に強い低木は、池との境界近くに、あらためてタブノキと交互に植え、鎮守の森、及び全体の防風林とする予定です。

後二、三年もすれば、やっと思い描いているサンクチュアリ(鎮守の森)の形が見えてくると思います。

どちらも、イメージ画像です。

菌根菌について整理します。

 菌根菌は、アーバスキュラー(内生)菌根菌と外生菌根菌に大きく分けられます。
 その他には、ツツジなどにつくエリコイド菌根菌とランにつくラン菌根菌がありますが、少数です。
 
 「アーバスキュラー菌根菌」は、 植物の根の細胞の中に菌糸を入れこみ、細胞内に「樹枝状体(アーバスキュラー)」という特殊な組織を作り、そこから 菌糸を土の中に伸ばし、リン酸や水分を集めて樹木に供給します。その代わり、木が光合成で作った糖類や脂質をもらいます。

 これに対し、「外生菌根菌」は、細胞の中には入らず、菌糸が​木の根の表面を分厚く包み込み[菌鞘(キンショウ)] 、菌糸は細胞の「隙間(細胞間隙)」に侵入するだけです。そのようにして外生菌根菌は樹木と栄養のやり取りをするのです。

 生きもの広っぱで、アーバスキュラー菌根菌と共生しているのは、シマトネリコ ネムノキ アカメガシワ ナンキンハゼです。つまり、荒れ地に生えているパイオニア植物はほとんどアーバスキュラー菌との共生です。
 
 鎮守の森の構成員であるタブノキと、江戸時代の街道の休憩所に植えられたエノキは、アーバスキュラー菌との共生ですから、一本だけ弱ったエノキをナンキンハゼの根元に植え直したのは大正解でした。今回、タブノキも、一本、ナンキンハゼの近くに植えたので、タブノキの成長はゆっくりですが、少し加速するかもしれません。
 しかもナンキンハゼ林のエノキを植え直した直近に大きなヤマモモの木があります。ヤマモモもアーバスキュラー菌根菌との共生ですが、その他に、フランキアという放線菌とも共生し、チッソを大量に作り、ナンキンハゼらが地中から吸い上げる栄養分を補ってあまりあるので、よけいにエノキが活気づいたのです。あの葉の出具合は異常なほどです。

 他方、「外生菌根菌」と共生するのが、生きもの広っぱでは、スダジイとアラガシです。その他は松です。だから弱ったスダジイとアラガシの植え替えは、今後、松の木の近くということになります。
 
 駐車場横の植栽地は、ナンキンハゼやシマトネリコの勢いに囲まれて、植え替えのエノキが大きく育ち、ヤマモモが土を豊かに耕し、そしてタブノキがじっくりと未来の出番を待っています。

(追加)
 駐車場横の植栽地の道路近くに、ナンキンハゼの林からは少し隔てて、スダジイとアラガシを植え直したのも正解でした。ナンキンハゼの近くだと、菌根菌の種類が違うので、思わず枯らしてしまうところでした。